明治時代、西洋文化の玄関口として発展した神戸・旧居留地は、今も美しい近代建築が建ち並び、洗練された街並みが残っているエリアです。
神戸の歴史と文化を感じ、おしゃれな写真も撮りながら、ぜひこの旧居留地をゆっくりと歩いてみませんか。
神戸旧居留地の観光モデルルート

《旧居留地観光モデルルート》
大丸神戸店(神戸外国人居留地跡の碑)⇒ニッケビル⇒あいおいニッセイ同和損保神戸ビル⇒商船三井ビルディング⇒シップ神戸海岸ビル⇒神港ビルヂング⇒チャータードビル⇒旧神戸居留地十五番館⇒神戸市立博物館
大丸神戸店~神戸市立博物館まで行程は1km弱。
旧居留地の観光では建物の外観のみを楽しむ感じになるので、歩くだけならたった15分くらいの距離。
ゆっくり歩いて写真を撮ったり、モデルルート以外の道も散策しても、30分から1時間もあれば十分まわれます。
神戸旧居留地の歴史と魅力

鎖国政策が終わりを迎え神戸港が開港したことをきっかけに、1868年(慶応3年)外国人専用の居住・営業のための居留地が設置されました。
居留地は治外法権が認められた特別区域で、当時の兵庫の市街地から3.5km離れた砂地と畑地に建設されました。それは日本人と外国人との紛争を避けるためでした。

ヨーロッパの近代都市計画のもとに、碁盤の目状の街路と洋風建築が整備された居留地では、敷地は整然と126区画に分割されました。
神戸港の開港とともに多くの外国人が神戸に移り住みましたが、そのうち居留地の土地が不足してきました。
そのため山手の高台に外国人が移り住みましたが、それが現在北野異人館街として神戸観光の定番となっているエリアです。

北野異人館街について紹介しているこちらの記事もどうぞ。
「神戸観光なら外せない!北野異人館街の魅力とおすすめ散策スポット徹底ガイド」

不平等条約が改正され、居留地は明治32年(1899年)に日本政府に返還されました。
その後旧居留地には大正時代と昭和初期にかけて多くの日本企業が進出し、ビジネスの中心地として近代的オフィスや商業ビルが次々と建てられ発展していきました。

旧居留地を歩くと、まるで時代をさかのぼったかのような重厚感ある建築物に出会えます。
美しい街並み、緑の多い街路樹の道は歩くだけで気持ちがよいですよ。
神戸旧居留地で訪れたい観光スポット
神戸旧居留地の散策は神戸大丸前から

大丸神戸店入口近くのメリケンロードには、このあたり一帯に外国人居留地が設けられていたことを示す神戸外国人居留地跡の碑があります。

旧居留地の中心的存在ともいえるのが、大丸神戸店とその周辺エリアです。
旧居留地の散策は、大丸神戸店を起点にスタートするのがおすすめ。

アーチ状の回廊が美しい大丸神戸店。
テラス席で街並みを眺めながら、優雅なひとときを味わえるカフェラ大丸神戸店。

まずは大丸神戸店の東側の通り、明石町筋を歩きましょう。
ここはレトロ建築が集まり高級ブランドショップが軒を連ねる居留地のメインストリート。
時間がない方は明石町筋を歩くだけでも、旧居留地の雰囲気を十分味わうことができますよ。
旧居留地38番館は改装工事のため閉館中。
建物は工事のためパネルやシートで覆われています。オープンは27年度の予定です。

ニッケビルは昭和12年竣工のアメリカンスタイルの建物。
ビルの名称は日本毛織株式会社(ニッケ)に由来。
1階は御影石、2階以上はタイル貼りでしたが剥離防止のためアルミ板で覆われています。

あいおいニッセイ同和損保神戸ビルは昭和10年竣工。
1階から3階までの縦長のアーチ窓が特徴のアメリカンスタイルのビルで、シンプルながらも品格あるデザインです。

シップ神戸海岸ビルは大正7年竣工。
震災後の平成10年に改築され地上15階建ての商業施設と一体となったビルで、歴史的建造物と現代建築が融合したデザインが特徴です。

シップ神戸海岸ビルの入口を入ると、吹き抜け構造になっています。
左手の自動ドアが震災後に建てられた15階建てビルへと通じます。

商船三井ビルディングは大正11年竣工。
大正時代の大規模オフィスビルとしては国内唯一現存し、この地区を象徴する歴史的建物の一つです。

現在も多くの企業が入居し生きる文化財として活用されています。

海岸通り(国道2号)を渡った向こうから写真を撮れば、シップ神戸海岸ビルと商船三井ビルディング2つのビルが一緒に入りますよ。
海岸通りを経て神戸市立博物館へ

商船三井ビルディングの角を左に曲がり、海岸通り(国道2号)を東へ進みます。
明治中期頃にはこの海岸通り沿いのプロムナードで、夕方になると外国人たちが散歩を楽しんだということです。

海岸通り(国道2号)の神港ビルヂングとチャータードビルも、見逃せない歴史的建築です。
神港ビルヂングは昭和14年竣工。屋上のアールデコ調の塔屋が印象的です。

神港ビルヂングの北側にある、レトロな喫茶店Cafe Rest 8番館。
「海岸通8番プリン」(430円)が一押しメニュー。
ブレンドコーヒーも470円とお手頃価格です。

チャータードビルは昭和13年竣工。
元は英国のチャータード銀行神戸支店として建てられました。

正面中央に3本のイオニア式円柱が並んでいます。
東西でデザインが違う入口の庇の装飾にも注目です。

神港ビルヂングとチャータードビルの間の道を入ると旧神戸居留地十五番館。
居留地時代の建築物として唯一現存する神戸最古の異人館で、国の重要文化財です。
明治13年(1880年)頃に建設され、震災で全壊しましたが、もとの建材を再利用して再建されました。

二階のベランダ、大きな窓とルーバーが特徴のコロニアル(植民地)様式の美しい洋館。
Salon 15 TOOTH TOOTH 旧神戸居留地十五番館は、この洋館を活用したおしゃれなカフェレストランで、紅茶と洋菓子などが楽しめます。

旧神戸居留地十五番館の東隣には神戸市立博物館。

神戸市立博物館は昭和10年竣工。
もともと銀行として使われていた建物を活用しており、重厚感あるギリシャ神殿風の外観が印象的です。
正面にドリア式の半円柱が並び、外装は御影石が使用されています。

旧居留地の歴史や貿易都市・神戸の成り立ちに興味がある方は博物館の見学も組み入れても。
館内は広いので、常設展時の1階と2階のみでも1時間半はみておいた方がよいでしょう。
神戸市立博物館の公式サイトで最新の展示情報をチェックしてから訪れるのがおすすめです。
その他の旧居留地の史跡
■旧居留地の下水道公開施設

旧神戸居留地十五番館の東側の歩道に展示しているレンガを使った旧居留地の下水道。
日本で最も古い西洋式下水道の一つであり、貴重な土木遺産です。
■旧三菱銀行の柱頭

昭和4年(1929年)に建てられた三菱銀行三宮支店(現神戸支店)の柱頭部分が、播磨町筋に残されています。
■旧居留地内の門柱

明治15年(1882年)頃に68番地の家の前に建てられた門柱。「68」の数字がくっきり刻まれています。
開港当時の外国商館の面影を偲ばせる貴重な文化遺産として保存されさていますが、うっかりすると見逃してしまいそうなほど。
神戸旧居留地のアクセスと歩くコツ
神戸旧居留地は元町方面、三宮方面、どちらからでも徒歩圏内ですが、今回の記事では元町方面からのコースを紹介しています。
元町方面からは、大丸神戸店をランドマークにエリアに入ると迷いにくいです。
- 一番近い駅: 旧居留地・大丸前駅(地下鉄海岸線)
- その他の便利な駅: JR・阪神元町駅(徒歩約5分)
街全体は碁盤の目状に整備されていて感覚的に歩くことができますが、中心になる東西の道路(通り)と南北の道路(筋)を押さえておくとさらに方向をつかみやすいです。
- 南北の道路
- 明石町筋⇒ 大丸神戸店東側の道、元町方面からはこの道が雰囲気がよくおすすめ
- 京町筋⇒ 神戸市立博物館入口に面した広い道
- 東西の道路
- 海岸通り(国道2号線)⇒ 新港ビルヂング・チャータードビルがある
- 仲町通り⇒ シティーループの停留所がある

神戸市内の主要観光スポットを効率よく回りたい方には、シティーループバスを利用して居留地へアクセスするのもおすすめです。
シティーループ「旧居留地(神戸市立博物館)」バス停で下りれば、旧居留地のどこへ行くにも便利です。
まとめ
神戸旧居留地には、開港都市として発展した神戸の歴史、異国文化との出会い、そしてそれを現代に受け継ぐ美しい街並みがあります。
旧居留地は30分くらいあれば短時間でも十分に楽しめるエリアです。
歴史的建造物である建物の外観を眺めながら歩くのが旧居留地の観光のメインとなるので、「南京町」や「メリケンパーク・ハーバーランド」など人気スポットと組み合わせて、神戸の街をより立体的に楽しむのがおすすめ。
中華街「南京町」は大丸神戸店の西側エリア一帯なので、旧居留地からすぐです。
神戸港の風景が広がるメリケンパークは、シップ神戸ビルのある海岸通りから徒歩約3分で到着できます。
ポートタワー、海洋博物館、BE KOBEモニュメントなど、神戸観光のランドマークが集まっています。
遊歩道沿いにメリケンパーク⇒ハーバーランドの順で散策してみてください。こちらの記事もぜひどうぞ。
コメント